刀剣、槍、弓はもののふの嗜むに正しき業にありせば当今の世にも習ひたるもの多し。
比べて鉄扇などは古物の博覧にて我は一度目にせしことのあるのみ。その後は藤沢周平翁の文中にて名人の技をもてば殺傷も可なることを知れども、いささか暗器の類ひに似たる思ひは脱ぐことなし。
えいはんストア:バシッと一撃現に買ふべき頁ありとは初耳にして面白し。売り文句にては己の身を守るに持ち歩くが良しとあれど、これを真に受くはやや危うきを覚えん。
一つに凡人、周平翁語る侍の如き名手にあらざれば如何にも扱ひ難く、危急の場にては役に立たざること明らかなり。ひところ親爺狩りなる狼藉巷に流行りて、特殊警防なるものも売り買はれり。これ鉄扇と等しき大きさにて懐に忍ぶべきものなれど、一振りにて数尺の長さに伸びうれば、間合ひそのままにて一打必倒もありうべし。鉄扇は伸びず、僅か雅に開く限りで功なし。
二つには正当なる護身とは言へど、まこと大傷の一つも負はさば、法の裁きにてやや厳しき扱ひを受くることありと聞くが故なり。
戦ふに軽き、仰ぐに重きは、夏炉冬扇、いな夏炉鉄扇ともいふべし。
なほ鉄扇を用ひての
型はここに見つけたり。
posted by いにしへびと at 23:24|
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